ジョヴァンニ・ピコ・デッラ・ミランドラ 『人間の尊厳について』

3.5
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イタリア・ルネサンスを代表する大思想家である、ピコ・デラ・ミランドラの、必ずしも代表作ではないが最も有名な著作。

元々はピコが企図した討論会の演説文として書かれたものであったとのことだが、討論会自体が実現しなかったため著作として残されたのだと言う。

本著においては、ピコの重要な思想的テーマと思われる以下の2つのトピックが提示される。

①人間は不定の本性を持ち、自由意志に基づいて自己の本性を決定することができる存在である
②あらゆる思想・哲学・宗教は真理へと向かう限りにおいて互いに補いあうものであり、根本的に一致するものである

なるほど、その主張の意図や是非はともかく、これらを論証するにあたってのピコの古代思想に関する博学と、自由な発想と構想力には目を見張るものがある。
さながらピコ自身が自由意志の体現者であるかのようであり、非常に魅力に富んだ、ルネサンス期の人文主義を牽引するにふさわしい著作であると言えよう。

しかしながら、彼自身が若くして亡くなったこともあり、残念ながら彼の思想は体系化されるに至らず、その思想に対する後学の見解には諸説がある。殊に議論を呼ぶのは、②の諸思想の根本的統一の理念を所謂ミクロコスモス(人間は宇宙のすべての部分を共有する、小世界を内包する存在であるという考え方)的な主張と見るか否かという問題だとのこと。

この点、本著のみから結論を導き出すことは困難である。

ピコの著作は日本ではそう簡単に読めるものではないのであるが、本書では、これらピコを巡る数多の議論が非常に丁寧に解説として纏められている。本書は、およそ350ページのうち何と約5分の4までもが訳者の注と解説によって占められているという力作なのである。本書の訳者である、大出哲、阿部包、伊藤博明の三氏には脱帽である。

以下、四方山話。

この本、Amazonで検索してみるともう絶版のようなのだが、マーケットプレイスでえらく高い金額が掲げられている。もともとの定価が5000円くらいと高価な本ではあるのだが・・。

こんなことならマーカーとかせずに綺麗に保管しておけばよかったとちょっと悔しい気分である。

まあ私は買った本は絶対に手放さない人なんですけど。

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